1/35スケールメルカバMK.1、TAKOMからニューキット2種がリリース!

1/35スケールメルカバMK.1、TAKOMからニューキット2種がリリース!

2017/08/04

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takomメルカバタイトル

 

かつてTAKOMはその独特すぎるラインナップから、畏敬をこめて「狂犬」の名で呼ばれたこともある模型メーカーです。しかしながら、どんなアイテムであれ製品開発への誠実さは変わらず、気がつけば優れた製品を安定して市場に供給する、中堅の地位を獲得したと言えましょう。「誰も手を出さないものでも製品化する」姿勢は、いつのまにか「タミヤがあるので誰も手を出さないものでも製品化する」姿勢へと変わり、チーフテンやM3リー/グラントなど、タミヤのリニューアルが及ばない戦車を積極的に開発する事例が続いています。今回9月に発売予定されている「メルカバMk.1」も、まさにそういったラインに属するアイテムとなります。

 

素体

 

メルカバ戦車は1979年にイスラエル初の国産主力戦車として世に現れました。それまでは欧米諸国からの輸入に頼っていたイスラエルが、第三次中東戦争後の禁輸処置、あるいは第四次中東戦争におけるアラブ諸国配備の最新鋭ソ連戦車の優越などに危惧を抱き、他国の干渉を受けずない、自国の環境に完全に合致した主力戦車の開発を目指して生まれたものです。それはイスラエル建国以来幾度となく繰り広げられた機甲戦の経験が十全に反映された、他の諸外国とは全く異なる異形の戦車でした。

 

メルカバMk.1は主砲に105mmライフル砲を備え、車体前縁投影面積を抑えたシルエットを持つ、戦後西側第2世代戦車に相当する車両です。しかしエンジンとトランスミッションを車体前部に配置して機関部自体を防御ユニットとし、車体後方には大型ハッチを備えて戦闘中でも安全に兵員を収容可能など、実戦の経験に裏打ちされた独特の設計思想が反映されています。現在イスラエル陸軍では120mm滑腔砲と複合装甲を備えてLAHATレーザー誘導ATMやトロフィーアクティブ防御システムをも実装したメルカバMk.4が主力の地位にありますが、その基本設計は1979年にロールアウトしたMk.1の段階で既に確立されていました。

 

マーク1

 

1/35 メルカバMk.1

 

現代まで続くメルカバ戦車ファミリーの最初の存在となったのがこのMk.1です。周辺を敵対するアラブ国家に囲まれたイスラエルでは、人的資源の保全が重視され、メルカバは同時代の戦車の中でも際立って防御に重点を置いた車両のひとつです。シルエットは低く抑え、砲塔は鋭く細まり、砲弾はすべて車体後方の安全なラック内に収められています。砲塔後部に多数吊り下げられたいわゆる「チェーンカーテン」は、当初その効果を疑問視する向きもありましたが、対戦車ロケット弾の直撃を避ける安価で効率的な防御機構として、現行のMk.4にも受け継がれるものです。完成当初に行われたメルカバのデモンストレーションでは、大勢の観衆の前で車体後方ハッチからコマンド部隊が展開する様子が演じられ、「戦車と装甲兵員輸送車を統合した全く新しいタイプの車両ではないか?」との誤解が広まった一幕もありました(古いコンピューターウォーゲームでは、メルカバにそのような能力を持たせた物もありました)。それもまた、この戦車の革新性が生み出したひとつの「神話」だったのでしょう。

 

 

ハイブリッド

 

1/35 メルカバMk.1 ハイブリッド

 

ヘブライ語で「神の戦車」を意味する名を持つこの戦車は、1982年6月6日、混迷するレバノン内戦に初めて派兵されました。この「ガリラヤ平和作戦」に於いてメルカバは、シリア軍の装備した当時最新鋭のソ連製戦車T-72を凌駕する活躍を見せ、世界にその名を轟かせます。実戦の経験から得られた戦訓は直ちにフィードバックされ、改良を受けた車体を「ハイブリッド」の名でTAKOMは製品化しました。大きな変更点はむしろ車体内部のFCSやトランスミッションなどに行われているのですが、外観的にはサイドスカートの形状や懸架方法、追加された発煙弾投射装置と、対照的に砲塔側面に外装されていた迫撃砲が内部に収められるなどの違いがあります。砲塔上面に多数装備された機関銃(これはMk.1からのものですが)は近接対人戦闘を考慮したものであり、長く対ゲリラ戦・非対称戦を遂行しているイスラエル軍独特の兵装です。特に主砲砲身直上に取り付けられた12.7mm重機関銃は、元々砲撃訓練用に仮設されたものでしたが、実戦での有用性が認められて標準装備となったものです。

 

 

 

なお、メルカバMK.1が実戦に初投入されたガリラヤ平和作戦で、実際にメルカバに搭乗した経験をもつアリ・フォルマン監督による異色の長編アニメーション(!)映画が「戦場でワルツを」であり、アカデミー賞外国映画部門にノミネートされるなど高い評価を受けています(受章自体は本木雅弘主演の「おくりびと」に僅差で敗れました)。MTV調のポップな雰囲気でアニメートされたメルカバはなかなか興味深いものであり模型と合わせて鑑賞するのも良いかも知れません。

 

また初期型メルカバの実戦投入例としては、イスラエル軍以外にも多国籍企業「GAIL」が所有する私設軍隊の所属車両が、南太平洋の孤島「オウストラル島」で同地を徘徊する謎の巨神との戦闘に使用された記録が、映像として伝わっております。