フジミ「ちび丸ミリタリー 九七式戦車チハ 57mm砲塔・後期車台」レビュー

フジミ「ちび丸ミリタリー 九七式戦車チハ 57mm砲塔・後期車台」レビュー

2019/03/29

  • 作例・レビュー

 

フジミ「ちび丸ミリタリー 九七式戦車チハ 57mm砲塔・後期車台」

 

フジミちび丸シリーズより九七式中戦車の旧砲塔・新車台版です。艦船から始まったこのシリーズも戦車や怪獣などに広がって、そしてフジミ最新の「自由研究」シリーズに繋がっているのでしょうね。ディフォルメモデル自体もいまや海外メーカーからも陸海空様々な製品がリリースされています。そういうムーブメントの原動力には、ハセガワのタマゴヒコーキ復権と並んでこのフジミのちび丸シリーズがあったのではないでしょうか。

 

バンダイのSDガンダムは別格として(笑)

 

 

 

それではパーツを見て行きます。スナップフィット、カラー成型に加えてスライド金型を多用しているのがこのシリーズの特色で、Aランナーでは車体下面パーツをサスペンション含めて一体化。ディフォルメに伴う適度な省略もありながら、底面のリベットや点検パネルなど細かいディティールも見られます。このパーツひとつで九七式新/旧→一式→三式と使いまわせるのですから当時の日本の戦車開発の遅れは模型メーカーにとっては恩恵なのかも知れません……

 

 

 

Bランナーはガンメタルの成形色でキャタピラを一体成型、そして2枚入りです。そして機関銃の銃身がここにあるのも忘れずに、うっかり捨てたりしないように本当に本当に本当に注意してください。ふぅ、危ないところだったぜ。

 

 

 

Cパーツは転輪関係でこちらも2枚入り、こちらも旧日本軍中戦車に使いまわせる、潰しの効く部品です。当時の写真をよーくみると実は違ってるんじゃないかって話もあるんですが大丈夫だ、問題ない。

 

 

 

砲塔(旧砲塔)はEランナー、ワイヤーなどはDランナーとなります。ランナーひとつに1パーツみたいなのは一見すると贅沢な使い方のように思えますが、ここだけ差し替えてバリエーションに対応できるので、長い目で見れば経済的なのですな。

 

 

 

車体上面や砲塔の底が入っているGランナーでありますが、

 

 

 

実はもう1枚、Hランナーで車体上面パーツが入ってます。こちらはチハの新砲塔用パーツとして設計されたもので、新旧のパーツを混用することで旧砲塔・新車台のバージョンが作れる製品構成です。

 

 

 

日本戦車特有の迷彩塗装は「リアルシール」で再現されます。

 

 

 

スライド金型のほかにアンダーゲートも多用されて、組み立てやすく、見映えもしやすいコンセプトの製品。最近のフジミはディフォルメだけでなく通常のスケールモデルにもそういう指向を取り入れていて、一時期の製品内容とはずいぶん変わってきていますね。

 

 

 

壊れやすい(折りやすい)アンテナパーツが最初から2個用意されているのもありがたい配慮で、これは年少者や初心者への気配りなのでしょう。なんであれ初心者に向けたものならば、むしろ一層丁寧な製品づくりが希求されるところで「初心者向けならばいい加減でいい」なんてことは無いのが世の常です。

 

 

 

組立ては車台パーツにシールを貼りながら進んでいきます。実際の戦車製造過程も部品の組み立て・取り付けと塗装作業を同時に行っていたので、戦車模型一般の「全部組み立ててから塗装する」よりは実感に溢れる作業だ。いやシールなんて貼ってませんが実際は。

ちなみにシールの貼り付けに際しては、中性洗剤を1,2滴落した水を用意してパーツを湿らせながらやると多少融通が利きます。濡らし過ぎると貼り付かなくなるのでそこは注意が要りますが。

 

 

 

車台にシールを貼ったのち、サスペンションボギーと一体化された転輪や起動輪などの内側部分だけを取り付け、

 

 

 

その上に一体化されたキャタピラを乗せて、

 

 

外側の転輪を使って固定する。実車とはまるで違う構造ですが、最近ではミニスケールAFVなどでもよく見られる処置です。実感を取るか組み立てやすさを取るか、それだけでなくパーツ設計・製造のコストにも関わってくる話ではありますが……

 

ところで、

 

ここまで過程で貼るべきシールを何枚か貼り忘れていた……あとで慌てて貼り直した……(なんて参考にならないレビュー記事なんだ)

 

 

 

転輪の塗り訳はやはりシールで再現されます。ただご覧の通りにディティールは無慈悲に失われてしまいますしシールを貼らない箇所とのギャップがかなり激しい。ディティールを活かそうと思ったらシールは使わず全塗装するべきかもしれません。そういう拡張性もあるプラモデルだと捉えればエッチングパーツが用意されているのも納得のいくところで、どういったラインで仕上げるかはモデラーの選択次第でありましょう。

 

 

 

車体上面はシール貼り付け枚数も多いのですが、説明書のこのパートはモノクロ印刷になってしまうのでちょっと大変(笑)。コツとしては黄色の帯がつながるように見て行けばよいと思います。さすがに曲面も多く追随しきれていない部分もありますが、平面構成の多い車輛には向いているつくりなのかな。このシリーズ自衛隊車輛では10式が出てますが、むしろ90式にはいいかも知れない。

 

 

 

細かな装備や砲塔を取り付けて完成です。菊水のマークはサイパン島で戦った戦車第九連隊、その第5中隊所属「せいき」号をモチーフにしているようです(ファインモールドに1/35キットがあります)。

 

 

 

あっこれ雑具箱のシール剥がれかかってるジャン!といまさら気づいても手遅れなのである。どうしてもシールの貼り付けズレでパーツの取り付け穴がふさがれちゃうようなときは、そんな時はほれ、無理矢理にだな……。

 

 

 

前後からです。シールを貼ると日本戦車特有の星章が隠れてしまうのはやや残念ですが、新砲塔用の車体パーツを使用しているために生じる「車体機銃手用のハッチはディティール自体が存在しない」問題をご覧のように覆い隠してしまいます。シールも一長一短であります。

 

 

 

砲塔を動かしてもあんまり表情が変わらないのは短砲身チハの弱いところで困りますな。パーツの出来はいいので全塗装でかつハードなウェザリングとかやってみてもいいでしょう。リアルなディオラマの中にリアルなディフォルメ戦車というのも面白そう♪

 

 

 

そういえば最近レストアが成された靖国神社遊就館のチハもサイパン帰りということでこの菊水のマークが描かれてるんですが、あれは確か「みたて」号で、同じ九連隊所属とはいえ菊水は描いてなかったんじゃあるまいか。まあいいかそれは……。

 

 

 

女子高生とツーショットするチハたん。画になる!

 

 

 

ハッチが別パーツだとフィギュアを乗せられてよいのでしょうが、フィギュアを乗せるためにはそこそこ広い開口部が必要ですね。別にフィギュアを付属させろとかそういうことではなくて、そういう拡張性を持たせておくとユーザーの方で勝手にアレンジを始めるからいいのですよ。

 

 

 

 

というわけでちび丸チハたんでございました。もとから可愛いのでディフォルメしても可愛い。そういう戦車であります。

 

 

チハたん∩(・ω・)∩ばんじゃーい。