デザートイーグルパブリッシング「IDF ゼルダ M113 Pt.2 コマンド&メドバック」

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ゼルダと聞いて世の大抵の人々は任天堂のRPGを思い出すことでしょうが、世の中そうでない者もおります。

現用イスラエル軍AFVを積極的に紹介しているデザートイーグルの写真集。M113を扱ったものとしては2冊目で、「パート1 フィッターズ」の続きとなるものです。今回は指揮車型と野戦救急車型を扱った内容でフルカラー84ページ、写真/イラストは185枚以上が収録されています。

 

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M113装甲兵員輸送車は1960年代から使用されているベストセラーAFVです。低コストで高性能、シンプルな構造は本家アメリカだけではなく各国で様々な派生型を生み出し、なかでもイスラエル軍はM113とその系列車両を多く使用していることで知られています。イスラエル軍AFVの例に漏れず本車も独自の改良、装備の追加を行っていて、いわゆる魔改造を楽しめるもの。この辺りは日本の書籍などではなかなか追いかけにくいものですから、地元の利を活かして適切な情報をまとめて刊行してくれるデザートイーグルはイスラエル軍好きならチェックは欠かせない版元でしょう。

 

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近年では各国の機械化歩兵運用に歩兵戦闘車(IFV)が使用される例が多いのですが(ちなみにイスラエル軍はこの種の車両を採用せず、一線を退いた戦車を基にしたアチリザット等の重APCを投入しています)、多くの人員を要する司令部機能を持たせるには従来型のAPCが重用されます。通信と情報のネットワークが日々重要度を増している現代、装甲コマンドポストの占める地位もより大きくなっていると言えるでしょう。

 

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多数のロッドアンテナが林立するのはイスラエル軍の指揮車両では見慣れた光景ですが、本書ではパラボラアンテナを搭載している例も見られます。当然内部器材も様々に更新されているのでしょうが、さすがに軍事機密の壁は厚いようで残念ながら指揮車パートでは車体内部のショットはほとんど見られません。それでも十分に濃い内容で、車両作成やディオラマの題材を探すのには欠かせないものです。T字型の「ダブルロッドアンテナ」基部やイスラエル軍名物(?)車外装備品搭載ラックなどの接写も多く、ディティールアップ資料としても万全なものです。

 

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野戦救急車型のパートでは、ユダヤ教のイスラエル社会に合わせて車体前面と側面に描かれた、マーゲン・ダビド公社の白地に赤い六芒星が非常に目を惹きます。救急車型というのは模型の題材としてそれほど多く選ばれるものではないかも知れませんが、この個性的な外観は展示会などでアピール出来るかもしれません。指揮車両と比べて追加パーツが少ないところも狙い目(笑)。

 

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とはいえ相変わらず荷物マシマシで標識が見えなくなってしまうのは、それでいいのかイスラエル軍。とはいえイスラエル周囲の仮想敵国が戦場での救命任務を尊重してくれるかどうかは、あまり期待しないほうが良いのかも知れません……。本書は現場の部隊に直接取材を行っているのですが、救急標識を描いた車両が銃架に機関銃を装着している例も見られます。そんな「実態」が垣間見られるのもデザートイーグルならではのものでしょう。

 

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救急型では車内写真や天幕を展張しての簡易包帯所の様子など、こちらもあまり他の資料では見られないようなものが多数掲載されています。写真キャプションについては高校英語ほどの簡単な英文ですので、内容理解についてはそれほど身構える必要もないかと思われます。

 

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イスラエル軍のM113については以前バーリンデンプリダクツが盛んにレジン製改造パーツを出していました。しかし同社は事実上廃業し、シリコン型を廃棄している様子が古参モデラーに大きな衝撃を与えたことは記憶に新しいものです。最近はAFVクラブやドラゴンなどイスラエル物を手掛けるメーカーから新しいM113系キットがリリースされるアナウンスもありましたから、どこかでIDF改造パーツを出してくれないものかなと、思ったりもします。IDF沼は楽しいですよ?

 

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なおM113とはあまり関係がないのですが。本書収録のフォトとしてはメルカバMk2ベースのコマンドポストと野戦救急仕様アチザリットが非常に興味深かったことを末尾ながらに記しておきます。アチザリット救急車って一体……