フェバリットの恐竜ソフトモデル(ティラノサウルス他)

フェバリットの恐竜ソフトモデル(ティラノサウルス他)

2017/03/29

  • 作例・レビュー

ところで急に質問ですが、みなさん恐竜はお好きですか?私は好きです。もしも恐竜が嫌いだとか生理的に受け付けないとか親を恐竜に殺されたという人がいたら申し出て下さい。5分待ちます。

 

…5分待ちましたが、特にスピーカーからはなにも聞こえてきませんでした。よかった、恐竜が嫌いな人なんていないんだ(*´∀`*)

 

そんなこんなでご紹介するのは科学博物館のミュージアムショップなどにも並んでいる、フェバリットの恐竜ソフトモデルです。リーズナブルな価格でありながら日本の恐竜造型の第一人者荒木一成氏を監修に迎えて、プロポーションやディテールなどの面では科学的な考証も確かなもの。お部屋のインテリアにも脳内で想像上の中生代を跋扈させるにも向いた逸品です。このシリーズは様々な恐竜をモデル化しているのですが、採り上げるならやっぱりこの人、ティラノサウルス!(人じゃない)

 

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フェバリット「ティラノサウルス」

恐竜のなかでももっとも著名な存在といえるであろう、白亜紀後期に繁栄した肉食恐竜です。数多くの化石が発掘され、数多くの研究論文が生まれ、恐竜についての様々な知見を人類に与えてくれた存在。

フェバリットのソフトモデルはこのようなブリスターパッケージに収められています。本体+台座が基本構成ですが、実はシート台紙がそのまま「地面」としても活用できるデザインだったり。

 

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さっそくパッケージから出してみました。体色はブラウン系の塗りになっています。「恐竜の色」というのも意見が様々なのですが、概ね現生の爬虫類に倣うのがまあ、慣例となっていますね。長く尻尾を後方に伸ばして前傾姿勢の頭部とバランスを取る。「ティラノサウルス」といわれてまずほとんどの人が思い浮かべるのはこういう姿ではないでしょうか?

 

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でも、一般的なティラノサウルス像がこのような形になったのは割と最近です。スピルバーグの映画「ジュラシックパーク」が公開されてCGによる恐竜の姿が全世界の度肝を抜いた1993年

 

えっもう20年以上前になるのちょっと待ってそんなにむかしなの

 

えー、すいません、ティラノサウルスがこのような姿だと一般社会に浸透してからもう20年以上が過ぎました。すっかりおなじみのアイツです( ・∀・)ノィョ-ゥ

 

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恐竜の復元については日々研究が続けられ、想像される姿も移り変わっていくものですが、最新の研究成果というのもなかなか浸透しないもので、恐竜温血説に基づく活発な恐竜像、高速で疾駆するティラノサウルスが受け入れられたのはやっぱりあの映画の影響が大きかったように思います。それまではいわゆるゴジラ体型の、尻尾をずるずる引きずるもっさりした生き物というイメージでした。

 

 

<タミヤのプラモデルに見る、わかりやすいジュラシックパークの影響>

タミヤ

 

 

あの名画のおかげでティラノサウルス像は一変し、多くの観客を魅了したその姿は、末永く語り継がれることになったのです。

めでたしめでたし。

 

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最強論議というのはどこの世界でも煙たがられることが多いのですが、こと恐竜業界ではティラノサウルス最強説が今後も揺らぐことはないでしょう。「ジュラシック・パーク3」ではスピノサウルスがやたらと強力な恐竜として描かれてかれていましたが、サイズはともかく頭部の構造や脚部の強靭さを見てもティラノサウルスがあんな魚食い野郎に負けるわけがあるかい。今後もティラノサウルスの地位は揺るがず、永遠不変のままに在り続ける……

 

そんなふうに思ってる人はいませんか?ティラノサウルスが恐竜界でも最強なのは疑いようがないところですが、「ティラノサウルス」自身は結構変わっている。「ジュラシック・パーク」のリメイク的な意味も持つ新作「ジュラシック・ワールド」が公開されたときには、古生物学界隈からは結構なツッコミが入れられてしまったのでした。

 

ティラノサウルスってのはこんなんじゃねーよ! (#゚Д゚)

じゃあどんなのなんですか?(・∀・)

もっと…もっとモフモフしている!m9(`・ω・´)

 

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フェバリット「羽毛ティラノサウルス」

 

最新の古生物学的見地に基づくティラノサウルスの復元像がこちらです。「鳥は恐竜の子孫」とよく言われるようになりましたが子孫どころか「鳥は恐竜」なのであって、以降この記事では恐竜のうち鳥ではないものを「恐竜」と呼ぶことにします。とはいえ皆さん、焼鳥屋に行って「ちょっと恐竜を焼いてくれや」などと言うのは明らかに難癖なのでやめましょう。

 

 

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こちらの体色はグリーン系、全体的に躍動感を増したポーズとなっています。恐竜、特に肉食の獣脚類恐竜に羽毛が発見されたのは1996年、中国でシノサウロプテリクスの化石が発掘されてのこととなります。ジュラシックパーク公開からわずか3年で、恐竜復元像は大きく描き変えられていったのです……

 

 

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当初小型の獣脚類にのみ羽毛が発見されていた時期には、ティラノサウルスに羽毛があったかどうかは是非の分かれるところでしたが、現在ではティラノサウルスに近縁のディロングや全長9mと大型のユウティラヌスにも羽毛化石が発見されています。ティラノサウルス・レックスに未だ羽毛化石は発見されていませんが、

 

それは我々がこれから発見するのです。

 

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むしろいまどき羽毛の無いティラノサウルスが闊歩しているのはホビー業界ぐらいのものかもしれません。最近では図鑑関係はもとより恐竜をテーマにしたテレビのドキュメンタリー番組などでも、羽毛モフモフのフサフサしたティラノサウルスが描かれます。これは不可逆の変化であり、ソ連の書記長と違ってハゲフサを交互に繰り返したりはしないのです……

 

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前肢に小さく生えそろった羽毛はこのフェバリット羽毛ティラノサウルスの一番の萌えどころかも知れません(笑)尻尾の部分もいかにも「鳥」のようなイメージで造形されています。

 

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ちなみに東京上野の国立科学博物館では、現在このようなティラノサウルスの復元図が展示されています。「将来の化石の発見によってこの仮説は検証される。」という一文がたまりません。科学は常に前進するのですヨ (*゚∀゚)=3 ムッハー

 

 

ティラノサウルスが羽毛恐竜だとして、それではこれまでの復元図、羽毛の無い姿は間違いなのか?そんなふうに思う方もいるでしょう。でも、これは個人の感想なのですが、自分はそれを「間違い」だとは思いません。ゴジラのようなスタイルのティラノサウルスだって決して間違っていたわけではない。言ってみれば階段を上っていくようにより真実に近づいているわけで、これまでの想像が「正しかった」からこそ、現在の知見が得られたのですから。

 

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そしてこの階段にはまだ先があります。いま描かれているティラノサウルスの姿ですら、10年後には必ず描き変えられる。だから恐竜模型のその時々の姿を手元に置いておけば、自然と古生物学の発達・進歩を体感することが出来る。そういう面白さはあります。タミヤが古いティラノサウルスを絶版にしない姿勢は、もっと評価されるべきで。

 

だからちょっと、古めかしいティラノサウルスも大事にしていきたいですね。そこでもう一点ご紹介してみます。

 

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コレクタ「ティラノサウルス」

おなじティラノサウルスでもCOLLECTA(コレクタ)社の製品です。メイドインUK(まー香港ですが)。ずいぶんユーモラスな感じに造形されていて、これはこれで好まれるところかと。

 

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こちらの製品でのおもしろいのはJP的な体型ながら上体を持ち上げることで旧来のゴジラ体型とも似た、「ゴジラからジュラシックパークに進化する中間形態」みたいになってるところでしょうか。コレクタの製品には非常に多様なタイプの恐竜モデルが混在していて、なかなか楽しいことになっています。中にはもちろん最新の学説に基づいた羽毛ティラノサウルスもありますし、角川映画に出てきそうなレックスもいる。恐竜模型・玩具というのもなかなか豊潤な世界が広がっています。

 

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そしてこちらの製品はそのユーモラスな(?)見た目にもかかわらず、左右の両目が正面を向いて「立体視」ができるというティラノサウルスの特徴をよくつかんでいます。ティラノサウルスが最強と言われる所以の、これは重大なポイントです。

 

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残念ながら現実の世界にはサンドスターも飛んでこないので生きているティラノサウルスを人間が目にすることは出来ません。その復元には学術的な裏付けの上に想像の柱を建てていくことが重要で、そこにはある種の自由さもまた、確実に介在しています。これまでワニやトカゲのような爬虫類の延長で捉えられてきた恐竜は、いま急速にとりよしもとい「鳥寄せ」な位置へ変移しているのです。これからの時代、鳥類学からの恐竜へのアプローチが大きな意味を持ってくるのでしょう。

 

そこでご紹介するのが!

 

そう、まだちょっと続くんじゃ。

 

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フェバリット「アーケオプテリクス/始祖鳥」

 

フェバリットの最新製品、始祖鳥です。学名よりも和名のほうが圧倒的に浸透している珍しい存在であるのは、それだけ「鳥の始祖」という古生物学上のインパクトが大きいからでしょう。かのダーウィンが進化論を唱えたときにグッドタイミングで発見された存在。ちょうどいまグッドタイミングでその始祖鳥「ロンドン標本」の実物化石が来日してるのでちょっと行ってきたんですよええ。

 

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…尊い (*´Д`)

 

長々記事を書いてきたのは実はこの写真を貼るためだった。始祖鳥マジ天使。

 

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天使?う、うん、まあ天使だなそのな…

始祖鳥の研究もいろいろと進んで、フェバリットのこちらの製品にもそれは反映されています。おそらく飛翔は出来なかっただろう始祖鳥が、地上を疾走するようなポーズでモデリング。

 

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歯のある口、カギ爪を持つ翼など、化石から観察された特徴が再現されています。後肢にも風切り羽を持つのは近年の最新の研究成果を反映するもので、これを再現したのは今回の製品が初ではないでしょうか(無論全部を確かめたわけではないのですが)。

 

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体色が黒を基調としたものになっているのも、近年になって始祖鳥第1標本「ザ・フェザー」に残されていた痕跡から導き出されたものです。かつてはよく描かれていた極彩色の始祖鳥は、もう遠くに去ってしまった…

 

とはいえ羽毛の一本がどうも黒かったらしいという話なので、ひょっとしたら始祖鳥の全身は256色の鮮やかな羽毛で覆われていた可能性も無いわけではないでしょう。真実にたどり着くのはアキレスが亀に追いつくよりもはるかに困難だ。遥かな昔に死に絶えた生き物でも、その姿かたちは刻一刻と変わり続けて、この記事を書いている最中にも「ティラノサウルスとステゴサウルスは近縁だった可能性がある」というニュースが飛び込んできました。

 

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MA☆JI☆DE☆!?

 

くわしくはまーこの辺を読んでください。これがどれぐらいすごいことかを判りやすく説明すると「うどんはそばだった」とか「ザクはガンダムだった」とか「ヴィダールの正体はガエリオだった」に匹敵するほど驚天動地の出来事でちょっと俄かには信じがたいほど。

「鳥盤目と言っても鳥には関係ないのです(・ω<)」という鉄板のジョークがもう使えなくなるかもしれない!それはどうでもいい。

ティラノサウルスと並んでステゴサウルスの研究にも、この先注目する必要があるのかも…

幸い手元にはステゴサウルスの模型もありますのでもうどんどん紹介していくよ~。

 

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コレクタ「ステゴサウルス 死骸」

「これはステゴサウルスじゃない、”元”ステゴサウルスだ」などとモンティ・パイソン的スケッチを振りかざすまでもなく完全に死んでますなう。すごいなイギリス人のセンスわ。

 

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日本のメーカーではまずみかけない種類の製品ですが、背筋が収縮して反り返った状態となる恐竜特有の姿勢を再現しているのは学術的に正しいものです。コレクタの製品ではほかにもモグモグする恐竜などもあって、なんていうかなワイルドライフだな。恐竜の世界というのも決して日常ほのぼのアニメな空間ではないので…

 

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そんでやっぱりねーこういうことしちゃいますよねー、人間だもの。

 

…やはりヒトは絶滅していた方がよかったと思う、吉宗であった。

<完>